身体が硬い。それって、本当に悪いこと?
「硬い」「柔らかい」だけでは、身体は語れない。
FROM FTS
「身体が硬い」
Footballをしていれば、一度くらいは気にしたことがあるかもしれない。
もっと柔らかくした方がいい。ストレッチをした方がいい。可動域を広げた方がいい。
もちろん、柔軟性は大切だ。
でも、身体が硬いという一つの特徴だけで、その人の身体を「良い」「悪い」と決めることはできるのだろうか。
宮下自身は、昔からかなり身体が硬かった。前屈をしても、手が床につかない。
それでも、彼の最大の武器は「速さ」だった。
50m、5.7秒。
身体が硬く、決して大きくもない。それでも、なぜ速く走れたのか。
今回は宮下自身の身体から、「硬い」「柔らかい」の先にあるものを考えてみたい。
01僕は、昔から身体が硬かった
僕は昔から身体が硬かったです。前屈をしても、手が床につかないくらい。
だから「身体が硬い」ということは、自分にとってずっと身近な特徴でした。
でも僕は、身体が硬かったからこそ、速く走れた部分もあると思っています。
もちろん、身体が硬い方がいいと言いたいわけではありません。Footballでは柔軟性も大切です。
ただ、「身体が硬い=悪い身体」と単純に決めてしまうのは違うと思っています。
02『速さ』に特化した身体だった
僕自身は、かなりスピードに特化した身体だったと思います。
小学校5年生の春で50mが7.3秒。小学校6年生の秋には100mが13.4秒。中学1年生の春で100mが12.2秒。中学3年生の秋には50mが5.9秒。高校2年生では50mが5.7秒でした。
中学1年生の夏には1500mが4分42秒くらい。3000mは10分40秒くらい。小学校6年生の秋の走り幅跳びは3m94、中学1年生の春には4m30、中学2年生の走り高跳びは165cmくらいでした。
ベンチプレスは大学2年生で115kg、社会人では135kg。今は187.5kgです(笑)。
Footballで自分の強みだったのは、サイドでの突破でした。相手の後ろにボールが出れば、先に触れる。そういうスピードが自分の武器でした。
逆に身体は大きくなかったし、ヘディングはあまり得意ではありませんでした。
MIYASHITA'S NOTE / DATA
- 50M / 5.7 SEC
- BENCH PRESS / CURRENT 187.5 KG
- STIFF BODY / SPEED TYPE
数値は本人提供の競技記録・記憶として扱う。公認記録ではない。

03『硬い』から、力が伝わる
走るという動きでは、地面から受けた力を身体を通して前へ伝えていきます。
足から入った力が、足首、膝、股関節、骨盤、身体へつながっていく。
僕の場合、この身体の硬さは、地面から受けた力を推進力へ伝えるうえで、プラスに働いていました。
だから僕は、「硬い」という特徴そのものを悪いものだとは考えていません。
大事なのは、その身体でどう力を伝えているのかです。
大事なのは、その身体でどう力を伝えているのか。
地面から受けた力が、足・脚・骨盤・身体を通って前へ伝わっていく。
04ただし、Footballは真っすぐ走るだけじゃない
Footballでは、真っすぐ速く走れればそれで終わりではありません。
走る。止まる。方向を変える。跳ぶ。倒れる。相手と接触する。予想していなかった方向から力を受ける。
力の方向が変われば、一度その力を変えたり、止めたりして、次の動作へ移らなければいけません。
僕自身は、力を伝えることは得意だけど、力を消すことが苦手でした。
ここで言う「力を消す」というのは、力をなくすという意味ではありません。今まで使っていた力を一度キャンセルして、次の動きへ移れる状態をつくることです。
力を伝えることは得意だけど、力を消すことが苦手。
05『力を消す』って、どういうこと?
身体を使うということは、力を出すことだけではありません。
力を出す。力を伝える。力をキャンセルする。そして、次の動作に移る。
Footballでは、この切り替えをものすごく短い時間の中で繰り返しています。
さらにそこには、経験から来る「予測による判断の早さ」も入ってきます。
例えば相手の監督が「グラウンドを大きく使え」と声をかけた。その言葉から次に起こりそうなプレーを予測することもある。
逆に「そこ、絶対抜かれるな」と聞こえれば、相手がどこを狙っているのかを考えることもできる。
身体が動く。頭が判断する。経験が予測する。そして、その情報に合わせて身体がまた動く。
僕は、そういうものも含めてFootballでの身体の使い方だと思っています。
RUN / STOP / CUT / NEXT
06柔らかければ、それでいいのか
柔軟性が低いことが、怪我のリスクにつながる場合はあります。
でも、可動域が広ければそれだけで身体を上手く使えるわけでもありません。
動ける範囲が広くなれば、その範囲を自分でコントロールする必要があります。僕は、柔軟性だけでなく、その可動域を自分でコントロールできるかも大事だと考えています。
どれだけ柔らかくても、自分で扱えない範囲に力がかかれば身体を痛めることはあります。
だから僕は、硬いからダメ、柔らかいから良い、という二択では身体を見ていません。
07筋力をつけたら、瞬発力が落ちた
American Footballを始めた頃、コンタクトへの怖さもあって、とにかく筋力をつけました。
筋力は上がりました。でも、自分の感覚では、それまで持っていた瞬発力が落ちたように感じました。
そこで今度は、アジリティをかなりやりました。
足りないものを、別の能力で補う。
今振り返ると、これが僕の身体に対する考え方の原型だったのかもしれません。
速い身体。強い身体。柔らかい身体。硬い身体。大きい身体。小さい身体。
身体にはそれぞれ特徴があります。
大切なのは、全員を同じ身体にすることではない。その身体をどう使うのか。何で補うのか。何を最大限に活かすのか。
僕は「身体能力」というものを、一つの数字では見ていません。スピードも、筋力も、柔軟性も、その一部です。
それらがどう組み合わさり、どう使われているのか。そこを見ることで、自分のFootballも少し違って見えてくると思います。
FROM FTS / END
身体が硬いこと。それだけで、その身体の価値は決まらない。
速さ、強さ、柔らかさ。それぞれの特徴が、Footballの中でどう使われているのか。
次に見るのは、痛みだ。
痛みが出た場所は、本当に『原因』なのだろうか。