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FTS The Football Style Club
STORIES / KNOWLEDGE / BODY 001FTS KNOWLEDGE

僕が「身体」を見るようになった理由

Football、American Football、柔道。そして怪我。

WORDS / MIYASHITA EDIT / FTSSPEED / POWER / FLOW

FROM FTS

Footballでは「スピード」。American Footballでは「パワー」。柔道では「力の流れ」。

まったく違う3つの競技を経験し、数え切れないほどの怪我を経験してきた一人の男がいる。

サンシティ接骨院、宮下先生。柔道整復師として身体と向き合いながら、プロから子どもまで、年齢や競技レベルを問わず「身体の使い方」を見ている。

これは身体の正解を教える教科書ではない。

宮下の経験と思考を通して、読者自身が自分の身体とFootballを少し違う角度から見るための連載だ。

第1回は、その身体観がどこから生まれたのか。本人の言葉から始めたい。

広い空の下のサッカー練習場。遠くに小さく選手。個人は特定できない。
FTS EDITORIAL

01Footballから始まった

僕がFootballを始めたのは、小学校2年生のときです。そこから高校3年生まで、ずっとサッカーをやっていました。

僕の中では、Footballは「世界最高のスポーツ」です。

でも高校を卒業する頃、自分なりにサッカーに限界を感じていました。このままサッカーを続けるだけでいいのか。今までサッカーで身につけてきたものを、ほかの競技で活かせないか。そんなことを考えて、次にできることを探していました。

Footballは「世界最高のスポーツ」。

02American Footballへ

そこで出会ったのが、American Footballです。

といっても、当時の僕にとってアメフトなんて「大学に合格したときに、胴上げしている人たち」くらいの知識しかなかった(笑)。

でも調べてみると、スピードを活かせるポジションがあることが分かった。だったら、自分がサッカーで培ってきたものも使えるんじゃないか。それで大学からアメフトを始めました。

大学3〜4年生の頃には、週1回の休みを使って、神奈川県リーグの社会人サッカーにも出ていました。卒業後も競技を続け、25歳頃までAmerican Footballをやりました。

Footballは、限られた時間とスペースの中で、身体をいかに速く動かすか。American Footballは、そこにコンタクトが加わり、自分の力をどう発揮するかが問われる。

大学2年生くらいまでは、コンタクトへの不安もあって、とにかく筋力をつければいいと思っていました。かなり筋力トレーニングをしました。

でも3年生を過ぎた頃から、少しずつ考え方が変わりました。身体の大きな選手たちの中で、自分がどうやってパフォーマンスを出すのか。関節はどう動くのか。身体はどうやって力を作っているのか。単純に筋力だけではないものを見るようになっていきました。

FIG. 01SPEED / POWER / FLOW

SPEED

FOOTBALL

限られた時間とスペースの中で、いかに身体を速く動かすか。

POWER

AMERICAN FOOTBALL

スピードに加え、コンタクトの中でどう力を発揮するか。

FLOW

JUDO

相手の力をどう受け、流し、利用するか。

03高校時代、怪我は『痛いところを治すもの』だった

高校生の頃の僕は、身体に対する見方が今とはまったく違いました。

怪我をしたら、痛いところを治す。悪いところがあるなら、そこを治す。それだけでした。

高校時代、右の太ももに瘢痕があって、インステップでボールを蹴ると痛みが出ていました。でも監督には言えなかった。我慢してプレーを続けて、そのうち走ることすらできなくなりました。

日本代表の選手も診ている整形外科にも通いました。それでもなかなか良くならない。半年くらい経った頃には、これ本当に治るのかな、と思うくらい精神的にも追い込まれていました。

当時の僕の中では、悪い場所がある。そこを見つけて、そこを治す。それが怪我を見るということでした。

悪いところがある。だから、そこを治す。

04怪我をしながら競技を続ける

American Footballを始めてからは、怪我をしていない時の方が少なかったと思います。

指の突き指は20カ所以上。肉離れは延べ100回くらい。正確に数えたわけではないので感覚的な数字ですが、それくらい常にどこかを痛めていました。

最初は、怪我をしたら治せばいいと思っていました。でも、競技を続けながら怪我を繰り返していると、疑問が変わってきます。

そもそも、なぜ怪我をするんだろう。どうしたら怪我をしにくい身体になるんだろう。

「治す」から「予防する」へ。少しずつ身体の見方が変わっていきました。

治療と予防って、実は表裏一体なんじゃないか。身体のどこか一箇所だけを見ても、本当の原因は分からないんじゃないか。そんなことを考えるようになりました。

05そして柔道で『力の流れ』を知った

26歳からの3年間は柔道にも取り組みました。黒帯まで取得しています。

柔道では、ただ自分の力を出せばいいわけではありません。相手の力を受ける。流す。利用する。力の方向を変える。

自分より大きな相手でも、身体の使い方によって少ない力で動かせることがある。

そこで僕の中に、それまでとは違う感覚が入りました。

身体を強くすることと、身体を上手く使うことは違う。

Footballで感じていた「スピード」。American Footballで必要だった「パワー」。柔道で知った「力の流れ」。この3つが自分の中でつながったとき、身体に対する見方が一段変わりました。

「身体を強くすること」と「身体を上手く使うこと」は違う。

FIG. 02STRONGER / BETTER USE

STRONGER

FORCE vs FORCE

直線的に、力と力がぶつかる。

BETTER USE

RECEIVE / REDIRECT / NEXT

入ってきた力を受け、方向を変え、次の動きへつなぐ。

強くすることと、上手く使うことは同じではない。

06『身体を鍛える』から『身体をどう使うか』へ

それまでは、身体を強くすることを中心に考えていました。

でも、身体をどう動かすのか。どう操作するのか。どう力を伝えるのか。どう力を受けるのか。

そういうことを考えるようになってから、自分の身体も変わりました。

柔道を始めて身体の使い方を意識するようになってから、あれだけ繰り返していた怪我がほとんどなくなりました。

身体の使い方を変えることで、身体そのものが変わることがある。

痛みが出ている場所だけではなく、その人がどう動いているのか。なぜそこに負担が集まったのか。今はそういう視点で身体を見るようになっています。

僕にとって、Football、American Football、柔道、そして怪我は、別々の経験ではありません。

全部がつながって、今の「身体をどう使うのか」という考え方になっています。

FROM FTS / END

速い。強い。柔らかい。

身体能力は、ひとつの数字では測れない。

そして、能力を持っていることと、その身体を使えることも同じではない。

次回は、宮下自身がずっと抱えてきた一つの特徴から考える。

身体が硬い。それは、本当に悪いことなのだろうか。